西大寺所蔵文書の調査・撮影

一九九八年三月一三日より一八日まで奈良市西大寺芝町一丁目一—五、西大寺に出張し、同寺所蔵文書を調査・撮影した。本年度は第一三五箱一〇号・第一三六箱(補修のため借り出し中の四三号を除く)および第一箱一〜一〇号を撮影した。第一三五・一三六箱は光明真言会過去帳である。また近年補修が完了した西大寺諸国末寺帳(第一二一箱三号)および西大寺坊々寄宿諸末寺帳(同四号)についても、補修後の状態での撮影を行った。一九九二年度に開始した調査は第一〇一箱から開始し、本年度第一三六箱まで到達し、第一〇八〜一一七箱の近世文書を除く古文書・古記録類の調査・撮影を終了した。第一〜九二箱は聖教であるが、これについては元興寺文化財研究所主任研究員稲城信子氏を代表者とする科学研究費による「奈良市・西大寺所蔵典籍文書の調査研究」(一九九五〜九七)が行われているので、この調査成果に依拠して撮影を進めることとし、本年度はまず第一箱一〜一〇号を撮影した。なお第一四一〜一四六箱は西大寺日記であるが、本年度は状態の調査のみ行い、今後の調査・撮影の方針について検討した。前年度の調査の際に補修の上調査のため古文書・古記録三九点を借用していたが、そのうち一二点の補修・調査・撮影が終了したので、これを返却した。調査にあたっては、西大寺当局の格別のご高配を賜り、特に笹尾正道氏・佐伯俊源氏に大変お世話になった。また元興寺文化財研究所の稲城信子氏に、調査のご指導をいただいた。ここに記して厚く感謝申し上げる。
             (近藤成一・山口英男・渡邉正男・菊地大樹・中藤靖之)

『東京大学史料編纂所報』第33号